第31回管理栄養士国家試験 問題22 平成29年3月19日(日)
22 アミノ酸・たんぱく質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) 唾液は、たんぱく質分解酵素を含む。
 (2) アラニンは、アミノ基転移反応によりオキサロ酢酸になる。
 (3) アドレナリンは、トリプトファンから合成される。
 (4) 尿素回路は、アンモニア代謝に関与する。
 (5) ユビキチンは、たんぱく質合成を促進する。




(1) 一般に、唾液中にはたんぱく質分解酵素は含まれていないとされていますので、誤文です。ただ、絶対に1分子も含まれていないかと言われると、本当に誤文と言えるのか少し心配な選択肢なのですが、(4)のような明らかな正文があるときは、理屈をこねずに迷わず(4)を選びましょう。

(2) オキサロ酢酸ではなくピルビン酸です。覚えておいた方がいいでしょう。

(3) アドレナリンは、トリプトファンではなくチロシンから合成されます。ついでに、ノルアドレナリンやドーパミンも同じくチロシンから合成されることを確認しておきましょう。

(4) 基本中の基本です。高等学校で習っている人も多いと思います。尿素回路では、有害なアンモニアを無害な(あるいは毒性の低い)尿素に変換しています。

(5) 合成ではなく分解です。細胞内の不要なたんぱく質にユビキチンが結合し、これをプロテアソ-ムというたんぱく質分解酵素がATP依存的に分解する「ユビキチン-プロテアソーム系」を覚えておきましょう。




答えは(4)です。
第31回管理栄養士国家試験 問題21 平成29年3月19日(日)
21 酵素に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) 律速酵素は、代謝経路で最も速い反応に関与する。
 (2) Km値は、反応速度が最大反応速度の1/4に達するのに必要な基質濃度である。
 (3) 反応速度は、至適pHで最小となる。
 (4) ペプチダーゼは、二つの基質を結合させる酵素である。
 (5) アロステリック酵素の反応曲線は、S字状(シグモイド)である。




この問題では、(5)の選択肢が過去問にない内容であり、正誤の判定が難しいと思います。(1)~(4)を誤文と判定し、削除法で解くのが良策かもしれません。

(1) 律速酵素とは、ある代謝経路の中で最も「速い」ではなく「遅い」反応を触媒する酵素のことです。国試頻出項目ですので、必ず覚えましょう。

(2) Km値(ミカエリス定数)とは、反応速度が最大反応速度(Vmax)の1/2となる基質濃度を示します。1/4ではありません。ついでにKm値(ミカエリス定数)が小さいほど、酵素と基質の親和性が大きいということも覚えておきましょう。

(3) これは明らかな誤文ですね。至適pHでは酵素反応速度が最大となります。

(4) 誤文です。ペプチダーゼとは、ペプチドを加水分解する酵素ですので、何かと何かを結合させる酵素ではありません。

(5) 正文ですが、しっかり説明しようとすると大変長くなってしまい、「国試問題を簡単に解説する」という趣旨から外れてしまいます。そのため、簡略な説明にとどめさせていただきます。まずアロステリック酵素とは何かを思い出しましょう。基質結合部位とは異なる(allo)部位にリガンドが結合することにより、酵素の立体構造(steric)が変化し、酵素活性が変化する酵素のことをアロステリック酵素といいます。アロステリック酵素の場合、横軸に基質濃度、縦軸に反応初速度をとってプロットすると、一般にシグモイド(S字状の)曲線になります。これは、生体内における酵素活性の調節に好都合な性質と解釈されています。説明の意味がわかりにくい人は、「アロステリック酵素 → シグモイド曲線」と丸暗記しておきましょう。また、この問題の正誤の判別とは直接関係ありませんが、「アロステリック酵素では、基質結合部位とは別の部位にリガンドが結合することによって、酵素活性が変化する」ということは、しっかりと覚えておきましょう。




答えは(5)です。
第31回管理栄養士国家試験 問題20 平成29年3月19日(日)
20 ヒトの生体エネルギーと代謝・栄養に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) 栄養形式は、独立栄養である。
 (2) 体の構成成分として、糖質は脂質よりも多い。
 (3) 解糖系は、好気的に進む。
 (4) 脱共役たんぱく質(UCP)は、ミトコンドリアに存在する。
 (5) 電子伝達系では、窒素分子が電子受容体として働く。




(1) これは完全な誤文です。高校の生物基礎のレベルで解ける問題です。独立栄養生物とは、無機化合物や光をエネルギー源として生きていくことができる生物のことです。分かりやすく言えば、水と二酸化炭素と光で光合成を行い、でんぷんなどの有機物質を作ることができる植物などのことです。当然ヒトは違いますね。ヒトは、他の生物が合成した有機物(炭水化物、脂質やたんぱく質など)を摂取して生きていますので、従属栄養生物ということになります。

(2) まず体脂肪率を思い出しましょう。普通は20%くらいありますね。これに対して糖質の占める割合は1%前後です。よって誤文です。たとえ糖質の占める割合がわからなかったとしても、水分が65%前後、脂肪が約20%、残りの15%程度をたんぱく質やミネラル、糖質で分け合うとすれば、糖質の割合が脂質の割合を上回らないことが常識的にわかると思います。

(3) これは深く考えすぎなければ簡単ですね。解糖系は酸素を必要とせず、嫌気的条件下で進みますので誤文です。ただ、深く考えすぎて「解糖系は酸素があってもなくても進行する。すなわち好気的条件下でも進行するから正文だ」となりかねないので、注意してください。「好気的」という言葉は、「酸素を必要とする」という意味合いですので、誤文と判定しましょう。

(4) 正文です。脱共役たんぱく質(Uncoupling protein, UCP)はミトコンドリアに存在し、H+(プロトン)の濃度勾配を解消することによって、電子伝達系と酸化的リン酸化(ATP合成)とを脱共役させます。ついでに、脱共役たんぱく質は酸化的リン酸化(ATP合成)を阻害することも確認しておきましょう。

(5) 国試頻出項目の1つです。電子伝達系では、電子は最終的に酸素に受容されます。窒素ではありません。これは必ず覚えておきましょう。




答えは(4)です。
第31回管理栄養士国家試験 問題19 平成29年3月19日(日)
19 核酸およびたんぱく質の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) アデノシン3ーリン酸(ATP)は、ヌクレオチドである。
 (2) イントロンは、RNAポリメラーゼにより転写されない。
 (3) アミノ酸を指定するコドンは、20種類である。
 (4) たんぱく質の変性では、一次構造が変化する。
 (5) プロテインキナーゼは、たんぱく質脱リン酸化酵素である。




(1) 正文です。塩基のアデニン(A)と糖のリボースとが結合したアデノシンに、リン酸が3つ結合したヌクレオチドです。ちなみに、リン酸を含まず、塩基とリボースあるいはデオキシリボースから成る物質はヌクレオシドと呼ばれます。1文字違いでまぎらわしいので、気をつけましょう。

(2) まず、ヒトなどの真核生物では、遺伝子がエクソンとイントロンとに分かれていることを思い出しましょう。いずれの部分も転写されてmRNA(メッセンジャーRNA)前駆体が合成されますが、このときに働く酵素がRNAポリメラーゼです。次にこのmRNA前駆体のイントロン相当部が切り捨てられ、エクソン相当部だけがつなぎ合わされて成熟mRNAが完成しますが、このプロセスはスプライシングと呼ばれます。つまり、イントロン部分も転写されますので、正文ということになります。(この選択肢のように、語尾が「・・・ない」と否定形で終わっている少し不自然な文章は、ほとんど誤文であることが多いです。)

(3) コドン自体は4×4×4で64種類ありますが、このうちアミノ酸を指定しない終始コドンが3種類ありますので、アミノ酸を指定するコドンは61種類となります。ただし、ここまで正確に覚えていなくても、たんぱく質を構成する普通のアミノ酸は20種類であるのに対しコドンは64種類近くあり、アミノ酸と1対1対応はしていないことを思い出せれば、簡単に誤文と判断できると思います。

(4) よくある誤文です。たんぱく質の変性では、たんぱく質の一次構造(すなわちアミノ酸の配列順序)は変化せず、二次構造~四次構造の高次構造が(不可逆的に)変化します。この立体構造の変化によって、たんぱく質が元と異なる性質を示すようになることを変性といいます。

(5) プロテインキナーゼは、たんぱく質をリン酸化する(たんぱく質にリン酸を付ける)酵素です。脱リン酸化(たんぱく質からリン酸をはずす)ではありません。これは必ず覚えておきましょう。また、「脱」の1文字が余分なだけの誤文ですので、うっかり見落として正文と勘違いしないように注意しましょう。



答えは(1)です。
平成28年度 栄養士実力認定試験 問題23  平成28年12月11日(日)
平成28年度 栄養士実力認定試験 問題23  平成28年12月11日(日)

問題23 核酸とその構成成分についての記述である。正しいのはどれか。
 (1) ヌクレオチドは、五炭糖、リン酸、塩基の3要素から構成される。
 (2) ヌクレオシドは、ヌクレオチドから塩基がはずれた物質である。
 (3) DNAにはリボースが、RNAにはデオキシリボースが含まれる。
 (4) アデニンは、ピリミジン塩基の一種である。
 (5) プリンヌクレオチドは、ピリミジンヌクレオチドの前駆体になる。



(1) 正文です。ヌクレオチドは、五炭糖(ペントース)であるリボースあるいはデオキシリボース、リン酸および塩基(アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル)から構成されています。

(2) ヌクレオシドは、ヌクレオチドから塩基ではなくリン酸がはずれた物質に相当します。

(3) 逆です。DNA(デオキシリボ核酸)にはデオキシリボースが含まれ、RNA(リボ核酸)にはリボースが含まれています。

(4) アデニン(A)とグアニン(G)は、プリン塩基です。シトシン(C)、チミン(T)およびウラシル(U)はピリミジン塩基です。必ず区別できるようにしておきましょう。語尾が「ニン」で終わるのがプリンと覚えてもいいですし、CUT(カット,切る)はみじん切りでピリミジンと覚えてもいいと思います。

(5) プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチドは、全く別の合成経路で生合成されます。したがって、一方が他方の前駆体になることはありえません。




答えは(1)です。