第31回管理栄養士国家試験 問題33 平成29年3月19日(日)
第31回管理栄養士国家試験 問題33 平成29年3月19日(日)

33 腎臓での水・電解質調節に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) バソプレシンは、水の再吸収を抑制する。
 (2) カルシトニンは、カルシウムの再吸収を促進する。
 (3) 副甲状腺ホルモン(PTH)は、リンの再吸収を抑制する。
 (4) 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、ナトリウムの再吸収を促進する。
 (5) アルドステロンは、カリウムの排泄を抑制する。




この問題では、腎臓における尿の生成を正しく理解していないと、正答に行きつくことが難しくなります。特に尿細管や集合管における再吸収を思い出す必要があります。
腎動脈から流入した動脈血は、糸球体からボーマンのうにこし出され、原尿となって尿細管を通り、集合管に集められます。この間に原尿中の必要な成分は、尿細管や集合管から血液中に輸送されますが、これを再吸収といいます。原尿のうち、再吸収されなかった成分が集合管から腎盂に集められ、尿として体外に排出されます。したがって一般的には、再吸収促進=排出抑制、再吸収抑制=排出促進、という関係になります。

(1) 逆です。バソプレシンは抗利尿ホルモンですので、尿量を減らします。つまり腎臓の尿細管や集合管における水の再吸収を促進します。

(2) カルシトニンは、腎臓におけるカルシウムの再吸収を抑制し、尿中への排泄を促進します。よって誤文です。カルシトニンが血中カルシウム濃度の低下を促すホルモンであることを覚えていれば(これは覚えておいてください)、再吸収を促進するのはおかしいと気づきますよね。

(3) 正文です。副甲状腺ホルモン(PTH)は、カルシウムの再吸収を高めて排泄を抑制し、逆にリンの再吸収を抑制して排泄を促します。

(4) 逆です。心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、ナトリウムの再吸収を抑制し、尿中への排泄を高めます。

(5) これも逆です。アルドステロンは、ナトリウムの再吸収を高めて排泄を抑制し、カリウムの再吸収を抑制して排泄を促します。



答えは(3)です。
第31回管理栄養士国家試験 問題24 平成29年3月19日(日)
24 内分泌系と神経系による情報伝達機構に関する記述である。正しいのはどれか。2つ選べ。
 (1) セカンドメッセンジャーは、細胞質内で働く。
 (2) 脱分極は、細胞膜電位が負の方向に変化することをいう。
 (3) 神経活動電位の伝導速度は、無髄線維が有髄線維より速い。
 (4) アドレナリンは、細胞質内の受容体に結合する。
 (5) ノルアドレナリンは、内分泌系と神経系で働く。




(1) 正文です。たとえば、あるペプチドホルモンが標的細胞に作用する場合を考えましょう。ホルモンが標的細胞の表面にある受容体(リセプター)に結合し、そのシグナルが細胞質内でセカンドメッセンジャーの合成を引き起こし、この濃度上昇が次の生理的変化を引き起こします。よって正文です。

(2) 細胞膜電位は、静止状態では膜の内側が負(マイナス)になっており、この状態を分極していると言います。脱分極とは、これが正(プラス)に転ずることを指しますので、誤文ということになります。

(3) これは高校で習いましたよね。伝導速度は、無髄神経よりも有髄神経の方が速い(大きい)です。よって誤文です。

(4) アドレナリンの受容体(リセプター)は、細胞膜表面に存在します。よって誤文です。ついでにペプチドホルモンの受容体は細胞表面にあり、ステロイドホルモンの受容体は細胞質内や核内にあること、また甲状腺ホルモンの受容体は核内にあることも思い出しておきましょう。

(5) 正文です。ノルアドレナリンは、神経系ではたとえば交感神経の末端から神経伝達物質として分泌されますし、内分泌系では、副腎髄質からホルモンとして分泌されます。




答えは(1)と(5)です。
第31回管理栄養士国家試験 問題23 平成29年3月19日(日)
23 糖質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) グリコーゲンホスホリラーゼは、グリコーゲンを加水分解する。
 (2) 肝細胞内cAMP(サイクリックAMP)濃度の上昇は、グリコーゲン合成を促進する。
 (3) グルコース-6-ホスファターゼは、筋肉に存在する。
 (4) ペントースリン酸回路は、NADHを生成する。
 (5) 糖新生は、インスリンによって抑制される。




この問題では、(5)がわかりやすい正文ですので、まずこれを選んで、念のために他が誤文であることを確認するのが良いと思います。特に(2)の正誤の判定がやっかいかもしれませんが、自信をもって(5)が選べれば、迷う必要もありません。

(1) うっかりすると正文と勘違いしそうになりますが、加水分解ではなく、加リン酸分解ですので誤文です。

(2) 難問だと思います。肝細胞内のcAMP濃度が上昇すると、cAMP依存性のプロテインキナーゼ(Aキナーゼ)が活性化され、グリコーゲンシンターゼ(グリコーゲン合成酵素)やグリコーゲンホスホリラーゼがリン酸化されます。リン酸化によって前者は活性が低下し、後者は活性が上昇しますので、その結果、グリコーゲンの合成が抑えられ、加リン酸分解が促進されます。よって誤文です。

(3) よくある誤文です。グルコース-6-ホスファターゼは、ほぼ肝臓にしかないと覚えておきましょう。グリコーゲンが加リン酸分解されてグルコース-1-リン酸ができ、これがグルコース-6-リン酸に変換され、これにグルコース-6-ホスファターゼが作用すると、グルコースが生じます。よって、肝臓のグリコーゲンは血糖の補充に使われますが、筋肉のグリコーゲンは血糖には変換されません。

(4) これもよくある誤文です。NADHではなく、NADPHです。両者の違いは、リン酸(P)を含むかどうかだけで似ていますが、異なる物質ですので注意しましょう。このNADPHは、脂肪酸やコレステロールの生合成に使われることも、思い出しておきましょう。

(5) わかりやすい正文だと思います。インスリンは血糖値を下げるホルモンですので、糖新生は当然抑制されます。そもそもインスリンは、血糖値が高い時に放出されるホルモンですので、糖新生の必要がありません。こう考えても、正文だということがわかると思います。




答えは(5)です。
第31回管理栄養士国家試験 問題22 平成29年3月19日(日)
22 アミノ酸・たんぱく質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) 唾液は、たんぱく質分解酵素を含む。
 (2) アラニンは、アミノ基転移反応によりオキサロ酢酸になる。
 (3) アドレナリンは、トリプトファンから合成される。
 (4) 尿素回路は、アンモニア代謝に関与する。
 (5) ユビキチンは、たんぱく質合成を促進する。




(1) 一般に、唾液中にはたんぱく質分解酵素は含まれていないとされていますので、誤文です。ただ、絶対に1分子も含まれていないかと言われると、本当に誤文と言えるのか少し心配な選択肢なのですが、(4)のような明らかな正文があるときは、理屈をこねずに迷わず(4)を選びましょう。

(2) オキサロ酢酸ではなくピルビン酸です。覚えておいた方がいいでしょう。

(3) アドレナリンは、トリプトファンではなくチロシンから合成されます。ついでに、ノルアドレナリンやドーパミンも同じくチロシンから合成されることを確認しておきましょう。

(4) 基本中の基本です。高等学校で習っている人も多いと思います。尿素回路では、有害なアンモニアを無害な(あるいは毒性の低い)尿素に変換しています。

(5) 合成ではなく分解です。細胞内の不要なたんぱく質にユビキチンが結合し、これをプロテアソ-ムというたんぱく質分解酵素がATP依存的に分解する「ユビキチン-プロテアソーム系」を覚えておきましょう。




答えは(4)です。
第31回管理栄養士国家試験 問題21 平成29年3月19日(日)
21 酵素に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) 律速酵素は、代謝経路で最も速い反応に関与する。
 (2) Km値は、反応速度が最大反応速度の1/4に達するのに必要な基質濃度である。
 (3) 反応速度は、至適pHで最小となる。
 (4) ペプチダーゼは、二つの基質を結合させる酵素である。
 (5) アロステリック酵素の反応曲線は、S字状(シグモイド)である。




この問題では、(5)の選択肢が過去問にない内容であり、正誤の判定が難しいと思います。(1)~(4)を誤文と判定し、削除法で解くのが良策かもしれません。

(1) 律速酵素とは、ある代謝経路の中で最も「速い」ではなく「遅い」反応を触媒する酵素のことです。国試頻出項目ですので、必ず覚えましょう。

(2) Km値(ミカエリス定数)とは、反応速度が最大反応速度(Vmax)の1/2となる基質濃度を示します。1/4ではありません。ついでにKm値(ミカエリス定数)が小さいほど、酵素と基質の親和性が大きいということも覚えておきましょう。

(3) これは明らかな誤文ですね。至適pHでは酵素反応速度が最大となります。

(4) 誤文です。ペプチダーゼとは、ペプチドを加水分解する酵素ですので、何かと何かを結合させる酵素ではありません。

(5) 正文ですが、しっかり説明しようとすると大変長くなってしまい、「国試問題を簡単に解説する」という趣旨から外れてしまいます。そのため、簡略な説明にとどめさせていただきます。まずアロステリック酵素とは何かを思い出しましょう。基質結合部位とは異なる(allo)部位にリガンドが結合することにより、酵素の立体構造(steric)が変化し、酵素活性が変化する酵素のことをアロステリック酵素といいます。アロステリック酵素の場合、横軸に基質濃度、縦軸に反応初速度をとってプロットすると、一般にシグモイド(S字状の)曲線になります。これは、生体内における酵素活性の調節に好都合な性質と解釈されています。説明の意味がわかりにくい人は、「アロステリック酵素 → シグモイド曲線」と丸暗記しておきましょう。また、この問題の正誤の判別とは直接関係ありませんが、「アロステリック酵素では、基質結合部位とは別の部位にリガンドが結合することによって、酵素活性が変化する」ということは、しっかりと覚えておきましょう。




答えは(5)です。