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「果物や野菜にソラレン」という情報のほとんどはデマ
この5年間くらいの間に、ある特定の果物や野菜にソラレンという光毒性物質が含まれる、という怪しげな情報が、ネット上にたくさん見られるようになりました。なんでも、それらの果物や野菜を朝から食べると、日焼けやシミが増すそうな・・・。

しかし、それらのサイトには、何一つエビデンスが記載されていません。ソラレンが「多い」の「少ない」のと書いてあるだけで、その含量も全く書いてありません。なぜでしょうか?

それはその情報のほとんどが、メディアがねつ造したデマだからです。ある出版物に書かれた根も葉もない情報が、ネット上に小規模に取り上げられ、これを複数のテレビ局が面白おかしく番組に仕立てて放送したために、一気に広まったという仕組みです。それらのテレビ番組では、食品の専門家が監修しておらず、ソラレンの多い食品とソラレンの少ない食品のリストは、全くの素人の番組スタッフが、ネット情報をもとに作成したそうです。この経緯は、『「果物や野菜に含まれるソラレンの量はどのくらい?」にお答えします』の最下部に詳しく記しました。よろしければ、ご一読ください。

私は今年の2月以来、そのことを訴え続けてきましたが、正しい情報はなかなか拡散せず、苦戦してきました。

しかし、ついに2020年10月15日に、女子SPA!様から『拡散する「朝に食べたらNGな果物」の大ウソ。踊らされないで!』という記事を出していただくことができました。

女子SPA!

この記事は、あっという間にYAHOO!ニュース、livedoor NEWS、Rakuten/Infoseek News、goo ニュース、excite ニュースなどで拡散しているようです。私にはどうやってもできないスゴ技です。とても心強く感じました。と同時に、問題のソラレンの話題も、このような経路によって広まり、収拾がつかなくなったのだろうと思い、恐ろしくもなりました。

これで、科学的根拠の何もない誤情報が少しでも少なくなってくれればと、期待しています。女子SPA!様、スギアカツキ様、本当に有難うございます。感謝いたします。

さて、管理栄養士を目指す学生の皆さま、大学の授業でも話があったと思いますが、たとえネット上に何百と同じことが書いてあったとしても、それだけでその情報を信じてはいけません。とくに「ある種の食品にソラレンという光毒性をもつ物質が含まれる」などという、重大な情報は、ネット情報だけで軽々に人に伝えることは決して許されない情報です。ぜひ、科学的なエビデンスの有無を確認の上で、人に伝えるようにしてください。それを怠って、「キウイにソラレン」などという根も葉もない情報を自慢げに書いてデマの拡散に協力した医師、薬剤師、看護師、管理栄養士などの専門職の人々がいたことを教訓にしてもらえると、今回の騒ぎもあながち無駄ではなかった、ということになるかもしれません。

今回の女子SPA!様の記事のタイトルにもありますが、ぜひ誤情報に踊らされない管理栄養士さんになってくださいね。期待しています。

実際に測定した結果、キウイフルーツにソラレンは含まれていませんでした.
「キウイフルーツにソラレンが含まれる」という事実無根のデマにとどめを刺すために、自分で実際に測定してみました。

その結果、キウイフルーツ果実からはソラレンもその関連物質も検出されませんでした。この測定法の検出限界値から計算すると、キウイフルーツの可食部100グラム当りに含まれるソラレンの量は、7.5マイクログラム未満(0.0000075グラム未満)と算出されました。つまり、実質的には「ない」と言って差し支えないレベルと思います。測定の詳しい情報はこちらをご覧ください

何の根拠もない。そして実際に測ってもやはり検出されない。それなのに、インターネット上の多くのサイトで「キウイフルーツには光毒性のあるソラレンが含まれている」と気軽に書かれている。とてもひどい話だと思います。こうなったいきさつや、この誤情報が排除できない理由については、こちらに私の考えをまとめました。よろしければお読みください。

「キウイフルーツにソラレンが含まれる」は事実無根である
ネット上にはいろいろな情報があふれています。昔は一部の有識者とされる人々のみが、テレビや新聞、雑誌などのいわゆるマスメディアで情報を発信することができました。ところが、今ではだれでも簡単にインターネット上での情報発信ができるようになりました。また昨今のSNSの浸透により、いろいろな人が発信した情報が、真偽を問わず玉石混合で一瞬のうちに広範に拡散する時代となりました。今回はその困った一例として、私が研究の対象としているキウイフルーツが、いわれのない汚名を着せられている現状をご紹介いたします。

ネット上には、「キウイフルーツにはソラレンという光毒性をもつ物質が多く含まれている」とか「キウイフルーツを食べてから日光を浴びると日焼けやシミがひどくなるから、朝食べてはダメ」などという内容がまことしやかに書かれたサイトが、本日(2020年2月23日)の時点で200件ほどもあります。

最初に結論を言います。キウイフルーツ果実にソラレンが含まれるという科学的根拠はただの一件も示されていません。ましてや、キウイフルーツを食べると日焼けやシミがひどくなるなどという科学的根拠も一切見つかりません。これらの情報に惑わされずに、安心して朝からキウイフルーツをお召し上がりください。

これらのサイトには、キウイフルーツだけではなく、オレンジやグレープフルーツなどの柑橘系の果物もソラレンを含むので、朝食べてはいけないように書かれています。オレンジやグレープフルーツには、確かにソラレンが含まれるとはいうものの、それを食べたからといって日焼けが増すなどということを示した科学的根拠も全く見つかりません。そもそもソラレンの光毒性は、食品加工などで問題になるフェオフォルバイドなどに比べると、極めて弱いものです。このように、何ら根拠のない情報が、なぜこんなにも拡散してしまったのでしょうか。

実はこの情報源は、全国版の某テレビ局が2015年に放送したバラエティ番組の内容でした。番組の放送終了後は、このテレビ局の公式ホームページに放送内容が掲載され、そこからいろいろなサイトに広がりました。なぜかというと、この手の健康情報は多くのサイトが自分のページのコンテンツとして掲載したがるためです。身近な健康情報ですから、内容に興味をもった個人が自分のサイトに掲載することもあるでしょう。また、プロのライターに関連記事を書かせて、自分のサイトのコンテンツとする、商用サイトも数多く存在します。これらの商用サイトが、SEO(サーチエンジン最適化)対策やそれに伴う広告収入アップを目指すためには、願ってもないネタとなるわけです。それはそうでしょう。美肌のために食べていたビタミンCたっぷりのフルーツが、かえって美肌を遠ざけていた、などという架空のストーリーは、多くの人の関心を集めそうですから。

これらの根拠のない情報の拡散は、まだまだ続きます。多くのサイトでは、フェイスブックやツイッターなどのSNSを通じて情報を拡散させるツールを持ちますので、いとも簡単に複数の人へと伝わります。やがてこの根拠のない情報を信じて、「ウィキペディア」に書き込む人や、「Yahoo! 知恵袋」その他のQ&Aサイトに質問したり回答したりする人が現れます。また、「まとめサイト」などでも絶好のテーマとなってしまいます。さらには怪しげな書物を書いて出版する人まで現れて、こうなるともうだれにも止められない惨状となります。

では、どうしたらこの根拠のない情報を消すことができるでしょうか。本来ならば、情報発信元のテレビ局が訂正とお詫びを公表すべきでしょう。しかし、テレビ局の公式ホームページのサイトポリシーには、次のように書かれています。「本サービスに掲載する情報について様々な注意を払っておりますが、内容の正確性、有用性、安全性、その他いかなる保証を行わず、これらを担保する義務を負うものではありません。 (中略) 万一、本サービス上のコンテンツのご利用、もしくはご利用になれないことにより何らかの損害が発生した場合も、当社は、何ら責任を負うものではありません。」つまり、身もふたもなく要約すれば、「正しいかどうかは保証しないし、もしもこの内容を真に受けて損害が出ても法的責任はもちろん、社会的責任も道義的責任もウチにはありません」と公言しています。よほどの健康被害などが発生して、行政指導や行政処分でもない限り、訂正は望めないということです。

私は2016年と2020年に、このテレビ局に「キウイフルーツ果実にソラレンが含まれている」ことを示す根拠資料を開示していただくよう求めましたが、何の回答もありませんでした。上記のサイトポリシーに従えば、全く答える必要はないということでしょう。

「ライオンが動物園から逃げ出して、街中をうろついている」などという誤情報であれば、比較的早期に誤りであることが判明します。そのため、誤った情報は速やかにネット上から淘汰されます。しかし、今回ご紹介したような健康情報は、「根拠がないこと」を多くの人に伝えることが非常に難しいため、一度ネット上に拡散されてしまうといつまでも存在し続け、やがて事実であるかのように独り歩きを始めてしまいます。

現在私は、それぞれのサイトに1件1件お願いをして、根拠のない情報を消していただいています。すぐにご理解をいただき、1~3日間程度のうちに修正していただけるサイトが多く、大変有難く思っています。お忙しい中、迅速にご対応をいただいたサイトの運営者の方々には、この場をかりて幾重にもお礼を申し上げます。しかし、中には全く反応してくれないところもあります。さらには、そもそもサイトの管理者がわからない所もあれば、連絡先や問合せ先、コメント欄などが一切ないサイトもあります。それらのサイトから、また情報が拡散していることでしょう。終わりが見えませんが、根気強く地道に対応して行こうと思います。

さて最後に、管理栄養士を目指す学生の皆さまへ。大学では臨床栄養学や公衆栄養学その他の科目で、エビデンスレベルというのを学んだと思います。将来、対象者の栄養指導を行う時などに、栄養情報や健康情報の信頼性には十分に注意をしてください。ネット上で複数のサイトに記載されている情報でも、上述のように全くあてにならないものも少なからず存在しています。必ず根拠となる科学論文等の情報を確認して、エビデンスに基づく栄養指導等を実践してほしいと思います
しばらく休眠しています
このブログ・・・しばらく休眠しています。
ここのところ忙しくて、なかなか手が回りません。結局休みの日もほとんど仕事をしている状況です。

と言いながら、日課にしている稲城駅と大学との約 2 kmの徒歩通勤は、往復ともほとんど続けています。
家でのダンベルを使った筋トレも、3日に1度は行っています。
生活習慣病予防の運動だか、介護予防の運動だかわからない年齢になってきましたが、健康栄養学科に所属していますので、忙しくても健康への気遣いは最優先です。

運動は、言い訳を作るとだめですね。忙しいから、荷物が重いから、雨が降っているから、寒いから、などといった言い訳は一切排除しないと、なかなか運動は続きません。今週も頑張ろう。

しばらく止まっています.
ここのところ少し忙しくて、更新が途絶えています.

もうしばらくしたら再開予定です.