2021年11月07日 (日)
第34回管理栄養士国家試験 問題76 2020年3月1日(日)
76 脂溶性ビタミンに関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1) ビタミンAは、消化管からのカルシウム吸収を促進する。
(2) カロテノイドは、抗酸化作用をもつ。
(3) ビタミンDは、血液凝固に関与している。
(4) ビタミンEは、核内受容体に結合する。
(5) ビタミンKは、視覚機能に関与している。
(1) 消化管からのカルシウム吸収を促進するのは、ビタミンAではなくビタミンDです。
(2) 正文です。代表的なカロテノイドを思い出してみましょう。β-カロテン、リコペン、ルテイン、アスタキサンチンなど、どれも抗酸化作用を示します。
(3) 血液凝固に直接的に関与しているのは、ビタミンKですね。ビタミンDはカルシウムの吸収を高め、カルシウムは血液凝固に必須ですので、ビタミンDも間接的には血液凝固に関与しています。したがって正文とも言えます。ただし問題文は、「最も適当な」ものを選ぶように指示していますので、答えは(3)ではなくて(2)になると思います。(個人的には、正文になりうる記述を誤答として入れるのは好ましくないと思いますが。)
(4) 核内受容体に結合してホルモン様作用を示す脂溶性ビタミンは、AとD(活性型ビタミンD)です。ビタミンEは主として抗酸化作用を発揮します。ホルモンや神経伝達物質のように、受容体に結合して作用するわけではありません。
(5) 視覚機能に直接的に関与している脂溶性ビタミンは、ビタミンKではなくビタミンAです。
答えは(2)です。
76 脂溶性ビタミンに関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1) ビタミンAは、消化管からのカルシウム吸収を促進する。
(2) カロテノイドは、抗酸化作用をもつ。
(3) ビタミンDは、血液凝固に関与している。
(4) ビタミンEは、核内受容体に結合する。
(5) ビタミンKは、視覚機能に関与している。
(1) 消化管からのカルシウム吸収を促進するのは、ビタミンAではなくビタミンDです。
(2) 正文です。代表的なカロテノイドを思い出してみましょう。β-カロテン、リコペン、ルテイン、アスタキサンチンなど、どれも抗酸化作用を示します。
(3) 血液凝固に直接的に関与しているのは、ビタミンKですね。ビタミンDはカルシウムの吸収を高め、カルシウムは血液凝固に必須ですので、ビタミンDも間接的には血液凝固に関与しています。したがって正文とも言えます。ただし問題文は、「最も適当な」ものを選ぶように指示していますので、答えは(3)ではなくて(2)になると思います。(個人的には、正文になりうる記述を誤答として入れるのは好ましくないと思いますが。)
(4) 核内受容体に結合してホルモン様作用を示す脂溶性ビタミンは、AとD(活性型ビタミンD)です。ビタミンEは主として抗酸化作用を発揮します。ホルモンや神経伝達物質のように、受容体に結合して作用するわけではありません。
(5) 視覚機能に直接的に関与している脂溶性ビタミンは、ビタミンKではなくビタミンAです。
答えは(2)です。
2021年09月12日 (日)
第34回管理栄養士国家試験 問題75 2020年3月1日(日)
75 脂質の栄養に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)脂肪酸の利用が高まると、ビタミンB1の必要量が増加する。
(2)パルミチン酸は、必須脂肪酸である。
(3)エイコサペンタエン酸(EPA)は、リノール酸から合成される。
(4)エイコサノイドは、アラキドン酸から合成される。
(5)α-リノレン酸は、n-6系脂肪酸である。
(1) まず、ビタミンB1が補酵素として使われる代表的な反応を思い出しましょう。確かピルビン酸がアセチルCoAに変換される反応でしたよね。次に、脂肪酸の代謝を思い出しましょう。脂肪酸がβ酸化を受けると、アセチルCoAとなってTCAサイクル(クエン酸回路)に取り込まれるんでしたよね。これらを考え合わせると、脂肪酸の利用が高まると、ビタミンB1を使わずにアセチルCoAができますので、その必要量は低下すると考えられます。[生化学が苦手で、こんな複雑なことはとても理解できないという人は、とにかく(4)が正文とわかるようにしておけば、何とかこの問題をクリアすることができます。]
(2) 絶対に違いますよね。完全な必須脂肪酸はリノール酸とα-リノレン酸。生合成速度が遅いため、広義の必須脂肪酸として扱われるのがアラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸です。パルミチン酸は非必須脂肪酸です。
(3) エイコサペンタエン酸(EPA)はn-3系の脂肪酸ですので、リノール酸(n-6系)ではなくα-リノレン酸から生合成されます。
(4) 正文です。エイコサノイドはアラキドン酸などの炭素数20の脂肪酸から生合成される生理活性物質の総称です。
(5) α-リノレン酸は、n-6ではなくn-3系脂肪酸です。必ず覚えておきましょう。
答えは(4)です。
75 脂質の栄養に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)脂肪酸の利用が高まると、ビタミンB1の必要量が増加する。
(2)パルミチン酸は、必須脂肪酸である。
(3)エイコサペンタエン酸(EPA)は、リノール酸から合成される。
(4)エイコサノイドは、アラキドン酸から合成される。
(5)α-リノレン酸は、n-6系脂肪酸である。
(1) まず、ビタミンB1が補酵素として使われる代表的な反応を思い出しましょう。確かピルビン酸がアセチルCoAに変換される反応でしたよね。次に、脂肪酸の代謝を思い出しましょう。脂肪酸がβ酸化を受けると、アセチルCoAとなってTCAサイクル(クエン酸回路)に取り込まれるんでしたよね。これらを考え合わせると、脂肪酸の利用が高まると、ビタミンB1を使わずにアセチルCoAができますので、その必要量は低下すると考えられます。[生化学が苦手で、こんな複雑なことはとても理解できないという人は、とにかく(4)が正文とわかるようにしておけば、何とかこの問題をクリアすることができます。]
(2) 絶対に違いますよね。完全な必須脂肪酸はリノール酸とα-リノレン酸。生合成速度が遅いため、広義の必須脂肪酸として扱われるのがアラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸です。パルミチン酸は非必須脂肪酸です。
(3) エイコサペンタエン酸(EPA)はn-3系の脂肪酸ですので、リノール酸(n-6系)ではなくα-リノレン酸から生合成されます。
(4) 正文です。エイコサノイドはアラキドン酸などの炭素数20の脂肪酸から生合成される生理活性物質の総称です。
(5) α-リノレン酸は、n-6ではなくn-3系脂肪酸です。必ず覚えておきましょう。
答えは(4)です。
2021年09月12日 (日)
第34回管理栄養士国家試験 問題74 2020年3月1日(日)
74 空腹時の脂質代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)脂肪組織では、リポたんぱく質リパーゼの活性が上昇する。
(2)脂肪組織では、トリグリセリドの分解が抑制される。
(3)肝臓では、脂肪酸の合成が促進される。
(4)肝臓では、エネルギー源としてケトン体を利用する。
(5)筋肉では、エネルギー源として脂肪酸を利用する。
(1) リポたんぱく質リパーゼは、インスリンによって活性化されます。インスリンが分泌されるのは食後ですので、この記述はおかしいと判断しましょう。
(2) 脂肪組織に蓄えられているトリグリセリド(トリアシルグリセロール)は、飢餓時や空腹時のエネルギー源として使われます。つまり、空腹時こそ分解が促進される時です。よって誤文です。
(3) 深く考えなくてもおかしいと気づきましょう。生体内で脂肪酸合成が盛んになるのは、エネルギーが過剰になった場合ですので、空腹時には脂肪酸合成は低く抑えられるはずです。
(4) ケトン体は、脳や筋肉では飢餓時のエネルギー源になりますが、肝臓はケトン体をエネルギー源にできません。これは必ず覚えておきましょう。
(5) 正文です。空腹時には血糖上昇作用をもつアドレナリンやグルカゴンの分泌が亢進します。これらのホルモンは、ホルモン感受性リパーゼを活性化し、脂肪組織中のトリグリセリド(トリアシルグリセロール)の分解を促し、生じた脂肪酸は血流を介して全身に運ばれて、筋組織などでのエネルギー源として利用されます。
答えは(5)です。
74 空腹時の脂質代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)脂肪組織では、リポたんぱく質リパーゼの活性が上昇する。
(2)脂肪組織では、トリグリセリドの分解が抑制される。
(3)肝臓では、脂肪酸の合成が促進される。
(4)肝臓では、エネルギー源としてケトン体を利用する。
(5)筋肉では、エネルギー源として脂肪酸を利用する。
(1) リポたんぱく質リパーゼは、インスリンによって活性化されます。インスリンが分泌されるのは食後ですので、この記述はおかしいと判断しましょう。
(2) 脂肪組織に蓄えられているトリグリセリド(トリアシルグリセロール)は、飢餓時や空腹時のエネルギー源として使われます。つまり、空腹時こそ分解が促進される時です。よって誤文です。
(3) 深く考えなくてもおかしいと気づきましょう。生体内で脂肪酸合成が盛んになるのは、エネルギーが過剰になった場合ですので、空腹時には脂肪酸合成は低く抑えられるはずです。
(4) ケトン体は、脳や筋肉では飢餓時のエネルギー源になりますが、肝臓はケトン体をエネルギー源にできません。これは必ず覚えておきましょう。
(5) 正文です。空腹時には血糖上昇作用をもつアドレナリンやグルカゴンの分泌が亢進します。これらのホルモンは、ホルモン感受性リパーゼを活性化し、脂肪組織中のトリグリセリド(トリアシルグリセロール)の分解を促し、生じた脂肪酸は血流を介して全身に運ばれて、筋組織などでのエネルギー源として利用されます。
答えは(5)です。
2021年09月12日 (日)
第34回管理栄養士国家試験 問題71 2020年3月1日(日)
71 血糖とその調節に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)筋肉グリコーゲンは、血糖維持に利用される。
(2)インスリンは、筋肉への血中グルコースの取り込みを抑制する。
(3)健常者の血糖値は、食後約3時間で最高値となる。
(4)糖新生は、筋肉で行われる。
(5)アドレナリンは、肝臓グリコーゲンの分解を促進する。
この問題はかなり簡単です。高等学校の生物基礎の知識でも正答にたどり着けますので、必ず取りましょう。
(1) 肝臓のグリコーゲンは加リン酸分解されて、グルコース 6-ホスファターゼによってグルコースに変換され、血糖として放出されます。一方筋肉中のグルコーゲンは、筋肉細胞中にグルコース 6-ホスファターゼがないので、グルコースにはならず、したがって血糖を補うことができないということを、しっかりと思い出しましょう。
(2) 逆です。インスリンは、筋細胞や脂肪細胞において、グルコースの細胞内への取り込みを促進し、血糖値低下作用を示します。基本です。
(3) 食事の内容にもよりますが、血糖値は食後1時間前後で最高値を示します。食後3時間だと、ほぼ空腹時血糖値に近い値に戻っています。
(4) 糖新生は主として肝臓で行われます。腎臓でもある程度行われます。筋肉では糖新生は行われません。これも基本です。
(5) 簡単な正文です。高校の生物基礎の内容ですね。より詳しくは、アドレナリンは、グリコーゲンを分解するグリコーゲンホスホリラーゼを活性化し、グリコーゲンを合成するグリコーゲンシンターゼ活性を抑制します。
答えは(5)です。
71 血糖とその調節に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)筋肉グリコーゲンは、血糖維持に利用される。
(2)インスリンは、筋肉への血中グルコースの取り込みを抑制する。
(3)健常者の血糖値は、食後約3時間で最高値となる。
(4)糖新生は、筋肉で行われる。
(5)アドレナリンは、肝臓グリコーゲンの分解を促進する。
この問題はかなり簡単です。高等学校の生物基礎の知識でも正答にたどり着けますので、必ず取りましょう。
(1) 肝臓のグリコーゲンは加リン酸分解されて、グルコース 6-ホスファターゼによってグルコースに変換され、血糖として放出されます。一方筋肉中のグルコーゲンは、筋肉細胞中にグルコース 6-ホスファターゼがないので、グルコースにはならず、したがって血糖を補うことができないということを、しっかりと思い出しましょう。
(2) 逆です。インスリンは、筋細胞や脂肪細胞において、グルコースの細胞内への取り込みを促進し、血糖値低下作用を示します。基本です。
(3) 食事の内容にもよりますが、血糖値は食後1時間前後で最高値を示します。食後3時間だと、ほぼ空腹時血糖値に近い値に戻っています。
(4) 糖新生は主として肝臓で行われます。腎臓でもある程度行われます。筋肉では糖新生は行われません。これも基本です。
(5) 簡単な正文です。高校の生物基礎の内容ですね。より詳しくは、アドレナリンは、グリコーゲンを分解するグリコーゲンホスホリラーゼを活性化し、グリコーゲンを合成するグリコーゲンシンターゼ活性を抑制します。
答えは(5)です。
2021年02月19日 (金)
70 糖質の代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)糖質の摂取量増加は、ビタミンB6の必要量を増加させる。
(2)グルコースは、脂肪酸に変換されない。
(3)グルコースは、可欠アミノ酸に変換されない。
(4)ペントースリン酸回路は、リボース5-リン酸を生成する。
(5)赤血球には、解糖系が存在しない。
(1) 糖質の摂取量の増加は、一般にはビタミンB6の必要量に影響を与えません。ビタミンB1の必要量を増加させます。解糖系によって生じたピルビン酸がアセチルCoAに変換されるときに作用するピルビン酸デヒドロゲナーゼ(ピルビン酸脱水素酵素)が、補酵素としてビタミンB1(チアミンピロリン酸)を必要とすることを思い出しておきましょう。
(2) 正文です。脂肪酸を生合成するための直接の材料は、アセチルCoAです。これをさかのぼると、クエン酸であったりピルビン酸であったりするのですが、さらにさかのぼるとグルコースに行きつきます。脂質を摂取せずに糖質だけを摂取しても、過剰摂取すると体脂肪が増えることを考えれば、わかりやすいかもしれませんね。
(3) グルコースは肝臓において、種々のアミノ酸に変換されます。よって誤文です。問題文にわざわざ「可欠」アミノ酸と書かれているのは、不可欠アミノ酸(必須アミノ酸)はそもそも生体内で合成できないためです。
(4) 正文です。ペントースリン酸回路による代謝産物としては、核酸合成の材料となるリボース 5-リン酸と、脂肪酸やコレステロール合成時に利用されるNADPHの二種類を覚えておきましょう。なお、リボース 5-リン酸は、リボース 5’-リン酸と記される場合もあります。「’」が付いているから誤文、などど勘違いしないようにしましょう。
(5) 解糖系は、細胞質ゾルで進行する代謝系です。成熟赤血球には核やミトコンドリアはありませんが、細胞質ゾルはありますので、解糖系は存在します。ミトコンドリア内で進行するTCAサイクル(クエン酸回路)やβ酸化は存在しませんので、しっかりと区別して覚えておきましょう。
答えは(4)です。
(1)糖質の摂取量増加は、ビタミンB6の必要量を増加させる。
(2)グルコースは、脂肪酸に変換されない。
(3)グルコースは、可欠アミノ酸に変換されない。
(4)ペントースリン酸回路は、リボース5-リン酸を生成する。
(5)赤血球には、解糖系が存在しない。
(1) 糖質の摂取量の増加は、一般にはビタミンB6の必要量に影響を与えません。ビタミンB1の必要量を増加させます。解糖系によって生じたピルビン酸がアセチルCoAに変換されるときに作用するピルビン酸デヒドロゲナーゼ(ピルビン酸脱水素酵素)が、補酵素としてビタミンB1(チアミンピロリン酸)を必要とすることを思い出しておきましょう。
(2) 正文です。脂肪酸を生合成するための直接の材料は、アセチルCoAです。これをさかのぼると、クエン酸であったりピルビン酸であったりするのですが、さらにさかのぼるとグルコースに行きつきます。脂質を摂取せずに糖質だけを摂取しても、過剰摂取すると体脂肪が増えることを考えれば、わかりやすいかもしれませんね。
(3) グルコースは肝臓において、種々のアミノ酸に変換されます。よって誤文です。問題文にわざわざ「可欠」アミノ酸と書かれているのは、不可欠アミノ酸(必須アミノ酸)はそもそも生体内で合成できないためです。
(4) 正文です。ペントースリン酸回路による代謝産物としては、核酸合成の材料となるリボース 5-リン酸と、脂肪酸やコレステロール合成時に利用されるNADPHの二種類を覚えておきましょう。なお、リボース 5-リン酸は、リボース 5’-リン酸と記される場合もあります。「’」が付いているから誤文、などど勘違いしないようにしましょう。
(5) 解糖系は、細胞質ゾルで進行する代謝系です。成熟赤血球には核やミトコンドリアはありませんが、細胞質ゾルはありますので、解糖系は存在します。ミトコンドリア内で進行するTCAサイクル(クエン酸回路)やβ酸化は存在しませんので、しっかりと区別して覚えておきましょう。
答えは(4)です。