栄養士実力認定試験 平成23年度 問題22
問題22 アミノ酸代謝についての記述である。正しいのはどれか。

 (1)尿素は、腎臓内の尿素サイクルで合成される。
 (2)尿素のアミノ基は、アミノ酸のアミノ基に由来する。
 (3)ロイシンは、糖原性アミノ酸である。
 (4)アドレナリンは、トリプトファンから合成される。
 (5)ヒスチジンは、脱アミノ反応によりヒスタミンとなる。


(1) 腎臓ではなく肝臓です。

(2) 正文です。アミノ酸のアミノ基は、主にグルタミン酸に集められ、肝臓でグルタミン酸脱水素酵素によってアンモニアが遊離し、これが尿素サイクル(オルニチンサイクル)によって尿素に変換され、尿中へ排泄されます。(細かく言えば、アスパラギン酸のアミノ基も関わっていますが、これもやはりアミノ酸のアミノ基です。)

(3) 誤文です。「ロイシンおよびリシンはケト原性アミノ酸」ということは、しっかりと暗記しておきましょう。これは丸暗記しかありません。

(4) アドレナリンの前駆体となるアミノ酸はチロシンです。チロシン → ドーパ → ドーパミン → ノルアドレナリン → アドレナリンという合成経路は、これも丸暗記しておきましょう。

(5) これはまぎらわしいのですが、誤文です。ヒスチジンからCO2が取れてヒスタミンができますので、脱アミノ反応ではなく、脱炭酸反応です。そもそも脱アミノ反応だと、ヒスタミン(アミン)ではなくなってしまいますね。


答え (2)
第25回 管理栄養士国家試験問題(追加試験) 問題89
第25回管理栄養士国家試験(追加試験,平成23年7月31日)
基礎栄養学

89 遺伝形質と栄養に関する記述である。正しいものの組合せはどれか。
 a エネルギー代謝に関与する遺伝子の中には、多型が見られるものがある。
 b 肥満と関連する遺伝子の多型は、次の世代に遺伝しない。
 c 個人の遺伝子型は、食生活によって変化する。
 d 生活習慣病の発症には、遺伝素因が関与する。

 (1) aとb  (2) aとc  (3) aとd  (4) bとc  (5) cとd




答えは(3)です。

(a) ○ 有名な例としては、β3‐アドレナリン受容体の多型があります。エネルギーを効率よく使える遺伝子が、飢餓の時代にあっては有利に働き、一方、飽食の時代にあっては肥満を招き、不利に働くことの例として挙げられます。
 テクニックの話になりますが、この文章のように「・・・・・が見られるものがある。」で終わる文章は、常識的にほぼ正文と考えていいと思います。なぜなら、これを否定するためには「エネルギー代謝に関与する遺伝子の中には、多型が全くない」ことが必要となり、これは証明がほぼ不可能だからです。

(b) × 一般的に、遺伝子の多型は遺伝します。肥満や生活習慣病などの疾病そのものは遺伝しませんが、それらの疾病にかかりやすい体質、すなわち遺伝子の多型は遺伝します。

(c) × 原則として遺伝子型は、食生活その他の後天的な要因によっては変化しません。親からの遺伝によって決定します。もちろん、食物中に含まれる変異原性物質によって、遺伝子そのものに突然変異が生じることはありますが、このような変化は一般に「遺伝子型の変化」とはいいません。

(d) ○ 上記の(b)の解説とも関連しますが、生活習慣病そのものは遺伝しないものの、生活習慣病を発症しやすい体質は遺伝します。生活習慣病の発症は、遺伝的要因と環境的要因の両者の影響を受けます。同じ食生活をしていても、生活習慣病にかかる人とそうでない人が生じる理由として、この遺伝素因を意識することは重要です。
第25回 管理栄養士国家試験問題(追加試験) 問題84
第25回管理栄養士国家試験(追加試験,平成23年7月31日)
基礎栄養学

84 脂溶性ビタミンに関する記述である。正しいものの組合せはどれか。
a ビタミンAの活性体は、遺伝子発現の調節に関与する。
b ビタミンDは、肝臓でコレステロールに転換される。
c ビタミンEは、血液の凝固に必須である。
d ビタミンKは、腸内細菌によって合成される。

 (1) aとb  (2) aとc  (3) aとd  (4) bとc (5) cとd





答えは(3)です。

(a) ○ ビタミンAの活性体であるレチノイン酸は、作用を及ぼす細胞の核内受容体に結合し、遺伝子発現を制御することが知られています。ちなみに、エストロゲンやプロゲステロン、活性型ビタミンDなどのステロイドホルモンも、標的細胞の細胞膜を通過して核内受容体に結合することにより、遺伝子発現を制御します。

(b) × コレステロールはアセチルCoAからメバロン酸を介して生合成されます。ビタミンDからの転換はありませんので、誤文です。ちなみに、ビタミンDは肝臓で25位がヒドロキシ化され、また腎臓で1位がヒドロキシ化されて、活性型ビタミンDに変換されますが、これはコレステロールの生合成とは関係ありません。

(c) × 血液凝固に必須のビタミンは、ビタミンKです。Kは、Koagulation(ドイツ語で「凝固」)に由来します。

(d) ○ これは、このまま覚えておきましょう。ついでに、抗生物質を長期連用したとき、腸内細菌の減少によってビタミンK不足をきたす危険性があることも、復習しておきましょう。
第25回 管理栄養士国家試験問題(追加試験) 問題80
第25回管理栄養士国家試験(追加試験,平成23年7月31日)
基礎栄養学

80 糖質の栄養に関する記述である。正しいのはどれか。
 (1) 血糖値が上がると、筋肉のグリコーゲンの分解が促進される。
 (2) 絶食時には、肝臓ではアミノ酸がグルコースに変換される。
 (3) 絶食時には、筋肉からグルコースが放出される。
 (4) 糖質の摂取量が多いと、たんぱく質がエネルギー源として利用されやすい。
 (5) 糖質の摂取量が多いと、ビタミンB6の必要量が増す。




答えは(2)です。

(1) 血糖値が上がると、生体はこれを正常値に戻そうとします。したがって、グルコースをグリコーゲンとして合成・貯蔵することにより、血糖値を下げる方向にシフトします。よって誤文です。より詳しくは、血糖値上昇によって膵臓ランゲルハンス島B(β)細胞からインスリンが分泌され、これが筋細胞に作用して、グルコースの取り込みとグリコーゲンの合成を促進します。

(2) 正文です。絶食時(飢餓時)には、生命を維持するために筋組織のたんぱく質が分解され、アラニンなどのアミノ酸が血中に放出されます。このアミノ酸を材料として、肝臓でグルコースが合成されます。すなわち、糖新生が起こります。

(3) 筋組織は、グルコースをつくり出して供給することができませんので、誤文です。筋組織では、グリコーゲンからグルコースをつくり出すことができませんし、また、糖新生を行うこともできません。グリコーゲンからグルコースをつくり出したり、糖新生を行うことができる組織は、肝臓と腎臓しかない(主として肝臓)ことを、しっかりと覚えておきましょう。

(4) たんぱく質は、生体内において熱量素としても働きますし、体を構成するたんぱく質の合成にも使われます。糖質の摂取量が十分であれば、たんぱく質は体を構成するたんぱく質の合成に使われる割合が増し、エネルギー源として使われる割合が減少します。よって誤文です。

(5) 糖質の摂取量が多い時、一般にはビタミンB1の必要量が増します。解糖系で生じたピルビン酸がアセチルCoAに変換されるとき、ビタミンB1の活性型であるチアミンピロリン酸(TPP)が必要とされることは、しっかりと覚えておきましょう。ちなみに、たんぱく質の摂取量が多く、アミノ酸代謝が盛んになると、アミノ基転移反応を触媒するアミノトランスフェラーゼの働きが高まり、その補酵素としてピリドキサルリン酸が使われますので、ビタミンB6の必要量が増加します。
第25回 管理栄養士国家試験問題(追加試験) 問題79
第25回管理栄養士国家試験(追加試験,平成23年7月31日)
基礎栄養学

79 消化液に関する記述である。正しいのはどれか。
 (1) 唾液には、たんぱく質の消化酵素が含まれている。
 (2) 胃液の分泌は、味覚の刺激によってもおこる。
 (3) 膵液には、二糖類の消化酵素が含まれている。
 (4) 膵液の分泌は、絶食によって亢進する。
 (5) 胆汁には、消化酵素が含まれている。




答えは(2)です。

(1) 唾液には、でんぷんなどの糖質を加水分解するα-アミラーゼや脂質を加水分解するリパーゼは含まれていますが、たんぱく質を分解する酵素の存在は報告されていません。そのため誤文と判断します。

(2) 食物を食べるとき、味覚、臭覚および視覚の刺激によって副交感神経刺激が起こり、胃液の分泌が亢進しますので正文です。

(3) 膵液には、多糖を分解するα-アミラーゼ、脂質を分解するリパーゼおよびたんぱく質を分解するトリプシンやキモトリプシンなどが含まれています。しかし、二糖類を分解するマルターゼ、スクラーゼ、ラクターゼ、トレハラーゼなどの酵素の存在は確認されていません。よって誤文です。

(4) 誤文です。摂取した食物が胃で部分消化され、次いで胃の内容物が小腸に送られると、セクレチンやコレシストキニンなどの消化管ホルモンが分泌され、膵液の分泌が促進されます。絶食した場合には、これらの反応が起こりませんので、膵液の分泌が促進されることはありません。(難しく考えなくても、「絶食すると食物が胃や小腸に入ってこないので、膵液を分泌する必要がない」と考えれば、常識的にわかると思います。)

(5) 胆汁には、脂質の消化を補助する胆汁酸は含まれていますが、消化酵素(加水分解酵素)は含まれていません。よって誤文です。