第30回管理栄養士国家試験 問題71 平成28年3月20日(日)
71 消化器系の調節に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) アセチルコリンは、胃液の分泌を促進する。
 (2) ガストリンは、胃の運動を抑制する。
 (3) ヒスタミンは、胃酸の分泌を抑制する。
 (4) コレシストキニンは、膵臓からHCO3-の分泌を促進する。
 (5) セクレチンは、胃酸の分泌を促進する。




(2)、(4)、(5)の消化管ホルモンに関する問題は、基礎栄養学でよく出題されますので、特にしっかりと覚えておきましょう。

(1) まず、消化液の分泌や消化管の運動が、副交感神経の刺激によって促進されることを思い出しましょう。そうすれば、副交感神経の末端から分泌されるアセチルコリンが、胃液などの消化液の分泌を促進することが思い出せると思います。(副交感神経優位のリラックスした状態が、消化促進のためには望ましいこととの関連で、覚えておきましょう。)

(2) 逆です。ガストリンは、胃の運動を促進します。ガストリンは胃酸の分泌も促し、消化を促進します。

(3) 逆です。ヒスタミンは胃酸の分泌を亢進します。ちなみに、胃酸分泌を抑えることで有名な薬であるガスターはH2ブロッカーですが、このHはヒスタミンのHです。

(4) 膵臓からのHCO3の分泌を促進するのは、コレシストキニンではなく、セクレチンです。

(5) セクレチンは、胃酸ではなくHCO3-に富む膵液の分泌を促進します。




答えは(1)です。
第30回管理栄養士国家試験 問題70 平成28年3月20日(日)
70 遺伝子多型と倹約(節約)遺伝子に関する記述である。正しいのはどれか。2つ選べ。
 (1) フェニルケトン尿症は、遺伝子多型によって発症する。
 (2) 遺伝子多型の出現頻度には、人種差は存在しない。
 (3) 倹約(節約)遺伝子とは、体脂肪の蓄積しやすい体質を生む遺伝子である。
 (4) 倹約(節約)遺伝子仮説を唱えたのは、リネン((Lynen F)である。
 (5) 脱共役たんぱく質(UCP)遺伝子は、倹約(節約)遺伝子の候補である。




(1) フェニルケトン尿症は、完全な遺伝病(先天性代謝異常)です。そして、はっきりとした病状が現れます。遺伝子多型とは、遺伝子に生じた塩基配列の変異のうち、表現型に明瞭な変化を及ぼさないものを指しますので、これは誤文です。また一般に、遺伝子多型はある集団の1%以上の頻度のものと指しますので、その点でも誤りとわかります。

(2) 遺伝子多型の出現頻度には、人種間差異が認められます。これはこのまま覚えましょう。具体例までは覚えておかなくていいと思いますが、たとえばアルデヒドデヒドロゲナーゼ2やβ3アドレナリン受容体の遺伝子多型には、明瞭な人種間差異が認められます。

(3) 正文です。倹約(節約)遺伝子とは、エネルギー消費を抑える方向で作用する遺伝子のことを指します。したがって、エネルギーの摂取量や活動量が同じならば、脂肪が蓄積しやすい(言いかえれば肥満しやすい)体質につながると考えられます。下の(5)も関連しますので、合わせて理解しましょう。

(4) リネンではなく、ニールです。

(5) 正文です。脱共役たんぱく質(UCP, Uncoupling protein)遺伝子は、電子伝達系と酸化的リン酸化(ATP合成)とを切り離す(脱共役する)作用を示します。この作用により、生体内で産生したエネルギーはATP合成には使われず、熱として放散されます。したがって、この遺伝子に変異が生じてその機能が低下すれば、エネルギー消費を抑えることになります。そのため、倹約(節約)遺伝子だと目されています。できれば理論的に覚えておきたいところですが、苦手な人は丸暗記でもいいので覚えておきましょう。





答えは(3)と(5)です。
第30回管理栄養士国家試験 問題29 平成28年3月20日(日)
29 消化管の構造と機能に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) 胃壁の筋層は、三層構造である。
 (2) 小腸の長さは、大腸より短い。
 (3) 脂質は、膜消化を受ける。
 (4) 膵管は、空腸に開口する。
 (5) 大腸粘膜には、絨毛がある。




(1) 正文です。胃壁の平滑筋層は、斜走筋、輪走筋(輪状筋)および縦走筋で構成されています。

(2) 逆です。小腸の長さは7m前後、大腸の長さは1.5m程度です。小腸は、栄養物質を吸収するための表面積を広く取る必要があるため長いと考えれば、わかりやすいですね。

(3) オリゴ糖やオリゴペプチドは膜消化を受けますが、脂質の膜消化は知られていません。

(4) 膵管は、空腸ではなく十二指腸に開口しています。基本です。胃の幽門に続く25cm程度の部分は十二指腸と呼ばれますが、ここに肝臓や胆嚢からつながる総胆管と膵臓からつながる膵管とが合流して開口しています。それぞれから分泌される胆汁および膵液の成分と、消化における役割も復習しておきましょう。(できれば消化管ホルモンとの関わりも。)

(5) 小腸の粘膜には指状の突起である絨毛が多数ありますが、大腸粘膜にはありません。小腸は栄養物質の吸収の場ですから、絨毛によってその吸収表面積を飛躍的に拡大しています。それに対して大腸では主に水やミネラルが吸収されますので、そこまでの表面積は必要ないのでしょうね。




答えは(1)です。
第30回管理栄養士国家試験 問題22 平成28年3月20日(日)
22 ヒト体内の窒素化合物に関する記述である。正しいのはどれか。1つ進べ。
 (1) クレアチンは、クレアチニンの代謝産物である。
 (2) グルタミン酸は、オキサロ酢酸から生成される。
 (3) セロトニンは、チロシンから生成される。
 (4) ドーパミンは、グルタミンから生成される。
 (5) アンモニアは、肝臓で尿素に変換される。



これは、(5)がわかりやすい基本的な正文ですので、まずこれを選び、念のために他の4肢が誤文であることを確認するような流れが良いと思います。もしも他の4肢の正誤の判定ができない場合でも、自信をもって(5)を選びましょう。

(1) 逆です。クレアチンの代謝産物がクレアチニンです。クレアチンは、クレアチンリン酸を経てクレアチニンとなり、尿中に排出されます。

(2) グルタミン酸は、オキサロ酢酸ではなく、α-ケトグルタル酸(2-オキソグルタル酸)にアミノ基が転移されることによって生成されます。

(3) セロトニンは、チロシンではなくトリプトファンから生合成されます。これは覚えておきましょう。

(4) ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンなどのカテコールアミンは、グルタミンではなくチロシンから合成されます。これも覚えておきましょう。

(5) 有害なアンモニアは、肝臓において尿素回路(オルニチン回路)によって毒性の低い尿素に変換され、腎臓から尿中へと排泄されます。基本的な内容ですので、必ず覚えておきましょう。




答えは(5)です。
第30回管理栄養士国家試験 問題21 平成28年3月20日(日)
21 酵素に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) 反応速度は、至適pHで最小となる。
 (2) 酵素と基質の親和性は、ミカエリス定数(Km)が大きいほど高い。
 (3) アポ酵素は、単独で酵素活性をもつ。
 (4) 乳酸脱水素酵素には、アイソザイムがある。
 (5) 化学反応における活性化エネルギーは、酵素によって増大する。




(1) 至適pHというのは、酵素が最もよく働くpHのことです。したがって、反応速度は至適pHで最大になります。ついでに、ペプシンの至適pHが1~2、トリプシンの至適pHが8前後であることも思い出しておきましょう。

(2) 逆です。酵素と基質の親和性が大きいほど、ミカエリス定数(Km)の値は小さくなります。生化学が苦手な人は、これをこのまま暗記しておきましょう。ゆとりがあれば、ミカエリス定数(Km)とは、最大反応速度(Vmax)の1/2を与える基質濃度であるということも思い出しておきましょう。

(3) 酵素の中には、酵素たんぱく質単独では活性を示さず、補酵素や金属原子などの補因子を伴って初めて活性を示すものがあります。このとき、酵素タンパク質と補因子との複合体をホロ酵素といいます。このホロ酵素のたんぱく質部分のことをアポ酵素といいます。したがって、ホロ酵素は酵素活性をもちますが、アポ酵素単独では酵素活性を示さないことになります。

(4) 乳酸脱水素酵素(LDH)には、5種類の主要なアイソザイムの存在が知られています。よって正文です。これらのアイソザイムは心臓や肝臓など、それぞれ異なる臓器中に存在しています。そのため、血液中のアイソザイムパターンを調べることによって、それぞれの臓器の疾患の有無を推測することができます。ちなみに、アイソザイムは国試頻出項目の1つですので、その意味を確認しておきましょう。簡単に言えば、「アイソザイムとは、同じ化学反応を触媒するが、構造の異なる酵素のこと」です。(厳密な定義はもう少し長くなりますが、国試対応ではこの程度で大丈夫だと思います。)

(5) 逆です。活性化エネルギーは、酵素によって低下します。そのため、体温程度の低い温度でも化学反応がスムーズに進行します。この問題は、国試に頻出しますので、必ずわかるようにしておきましょう。




答えは(4)です。