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第35回管理栄養士国家試験 問題20 2021年2月28日(日)
第35回管理栄養士国家試験 問題20 2021年2月28日(日)

20 酵素に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  (1) アポ酵素は、単独で酵素活性をもつ。
  (2) 酵素たんぱく質のリン酸化は、酵素活性を調節する。
  (3) 律速酵素は、他の酵素の活性を調節する酵素である。
  (4) リパーゼは、脂肪酸を分解する。
  (5) プロテインホスファターゼは、グリコーゲンを分解する。




(1) 国試頻出項目です。アポ酵素は、補酵素や金属原子などの補因子と結合し、ホロ酵素となって初めて酵素活性を示します。アポ酵素単独では活性を示しません。これはしっかりと覚えておきましょう。

(2) 正文です。酵素の種類によって、リン酸化されると活性が低下するものと上昇するものがあります。これと関連して、酵素などのたんぱく質をリン酸化する酵素がプロテインキナーゼ、リン酸化されたたんぱく質を脱リン酸化する酵素がプロテインホスファターゼということも、思い出しておきましょう。

(3) 律速酵素は、一連の代謝経路の中で最も遅い反応を触媒する酵素を指します。律速酵素は、国家試験にしばしば出題されますので、しっかりと覚えておきましょう。

(4) リパーゼは、主としてトリアシルグリセロールのエステル結合を加水分解し、モノアシルグリセロールと脂肪酸に分解します。脂肪酸を分解するわけではありません。

(5) 上記の(2)の解説にも記しましたが、プロテインホスファターゼはたんぱく質脱リン酸化酵素です。たんぱく質に結合したリン酸を外す酵素ですので、グリコーゲンには作用を及ぼしません。(もう少し深読みして、プロテインホスファターゼがグリコーゲンホスホリラーゼの脱リン酸化を促したとしても、その活性は低下しますので、間接的に考えてもやはりグリコーゲンの分解は促進されません。)

答えは(2)です。
第35回管理栄養士国家試験 問題19 2021年2月28日(日)
第35回管理栄養士国家試験 問題19 2021年2月28日(日)

19 ホスファチジルコリン(レシチン)に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  (1) 単純脂質である。
  (2) ミトコンドリアで合成される。
  (3) 胆汁に含まれる。
  (4) 骨基質の主要な有機成分である。
  (5) トリプシンで分解される。




(1) 単純脂質ではなく、複合脂質です。グリセロールと脂肪酸だけから構成されるトリアシルグリセロールやジアシルグリセロール、モノアシルグリセロールなどが単純脂質です。ホスファチジルコリンはリン酸を含むリン脂質ですので、複合脂質に分類されます。

(2) ミトコンドリアではなく、小胞体の膜で合成されます。これは生化学の教科書に書かれていないことが多いですが、わからない場合でもこのような怪しげな記述を選ばずに、(3)を正文として選べるような感覚を養っておきましょう。

(3) 正文です。胆汁は水、胆汁酸、ホスファチジルコリンなどのリン脂質、コレステロール、ビリルビンなどから構成されています。

(4) 骨基質の主要な有機成分は、コラーゲンです。ホスファチジルコリンは、細胞膜などの生体膜の主要な構成成分として存在しています。

(5) これは誤文とすぐにわかってほしいです。トリプシンはたんぱく質分解酵素ですので、リン脂質を分解するはずがないですよね。ちなみにリン脂質は、ホスホリパーゼという酵素で分解されます。

答えは(3)です。
第35回管理栄養士国家試験 問題18 2021年2月28日(日)
第35回管理栄養士国家試験 問題18 2021年2月28日(日)

18 アミノ酸とたんぱく質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  (1) ロイシンは、芳香族アミノ酸である。
  (2) γ-アミノ酪酸(GABA)は、神経伝達物質として働く。
  (3) αヘリックスは、たんぱく質の一次構造である。
  (4) たんぱく質の二次構造は、ジスルフィド結合により形成される。
  (5) たんぱく質の四次構造は、1本のポリペプチド鎖により形成される。




(1) ロイシンは分枝アミノ酸(分岐鎖アミノ酸、BCAA)です。分枝アミノ酸はバリン、ロイシン、イソロイシンの3種で、すべて必須アミノ酸であることを、しっかりと覚えておきましょう。

(2) 正文です。できれば、中枢性の神経伝達物質で、神経細胞の興奮を抑えるように作用する抑制性の神経伝達物質であることも確認しておきましょう。

(3) αヘリックスは、たんぱく質の二次構造の一種です。二次構造としてはもう一つ、βシート構造(β構造)も覚えておきましょう。いずれも主としてペプチド結合間の水素結合で維持されています。

(4) 上記(3)と関連しますが、たんぱく質の二次構造は、ペプチド結合間の水素結合で形成されています。ペプチド結合中の「C=O」の酸素原子が負電荷を帯び、「N-H」の水素原子が正電荷を帯びて、引きつけ合います。

(5) たんぱく質の四次構造は、複数のポリペプチド鎖が会合することで形成されます。1本1本のポリペプチド鎖はサブユニットと呼ばれますので、サブユニットの会合のことを四次構造と言います。ちなみに、ヘモグロビンは2つのαサブユニットと2つのβサブユニットが四次構造を形成してできています。このように4つのサブユニットから成るタンパク質を四量体と言います。

答えは(2)です。
第35回管理栄養士国家試験 問題17 2021年2月28日(日)
第35回管理栄養士国家試験 問題17 2021年2月28日(日)

17 ヒトの細胞の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  (1) 細胞膜には、コレステロールが含まれる。
  (2) 核では、遺伝情報の翻訳が行われる。
  (3) プロテアソームでは、たんぱく質の合成が行われる。
  (4) リボソームでは、グリコーゲンの合成が行われる。
  (5) ゴルジ体では、酸化的リン酸化が行われる。




(1) 正文です。細胞膜は主としてリン脂質の二重層とたんぱく質(糖たんぱく質)からできています。しかし、コレステロールも含まれていることをお忘れなく。覚えのない人は、細胞膜や生体膜の構造を示した図を見直しましょう。

(2) 核ではDNAの塩基配列がRNAに写し取られる「転写」は行われますが、翻訳は行われません。完成したmRNA(伝令RNA)は核膜孔から細胞質のリボソームに移動し、そこで翻訳が行われます。高校の生物レベルで解ける問題です。

(3) プロテアソームはたんぱく質分解酵素です。よって、合成ではなく分解が行われます。ついでにユビキチン-プロテアソーム系も思い出しておきましょう。生体内において不要なたんぱく質にユビキチンというたんぱく質が結合し、それが目印になってプロテアソームによる分解が起きるんでしたよね。プロテアソームはATPを必要とするATP依存性の酵素であることを思い出せると、なお安全でしょう。

(4) グリコーゲンの合成は、細胞質のグリコーゲン顆粒で行われます。リボソームではありません。リボソームで合成されるのはたんぱく質ですね。

(5) 酸化的リン酸化は、ゴルジ体ではなくミトコンドリアで行われます。基本です。

答えは(1)です。
第34回管理栄養士国家試験 問題77 2020年3月1日(日)
第34回管理栄養士国家試験 問題77 2020年3月1日(日)

77 水溶性ビタミンに関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  (1) ビタミンB2は、内因子と結合して吸収される。
  (2) ナイアシンは、メチオニンから合成される。
  (3) 葉酸は、分子中にコバルトを含む。
  (4) ビオチンは、コエンザイムA(CoA)の構成成分である。
  (5) ビタミンCは、ビタミンEラジカルをビタミンEに変換する。



(1) 誤文です。内因子と結合して吸収されるのは、ビタミンB2ではなくビタミンB12です。ついでに、内因子は胃粘膜(壁細胞)から分泌されるので、胃を全摘した人ではビタミンB12不足をきたしやすいこと、そして、ビタミンB12不足は巨赤芽球性貧血の原因になることなども、思い出しておきましょう。

(2) ナイアシンは、メチオニンではなくトリプトファンから生合成されます。ついでに、ナイアシン不足はペラグラの原因になることも思い出しておきましょう。

(3) 葉酸は金属原子を含みません。コバルトを含んでいるのは、ビタミンB12です。

(4) コエンザイムA(CoA、補酵素A)の構成成分は、ビオチンではなくパントテン酸です。

(5) 正文です。ビタミンEはその抗酸化性で動脈硬化症などの予防に寄与すると考えられています。そのプロセスでビタミンEが酸化された時、これをビタミンCが還元し、ビタミンEに戻すとされています。つまり、ビタミンEとCが協調して、生体内で抗酸化性を発揮していると考えられています。

答えは(5)です。