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第30回管理栄養士国家試験 問題21 平成28年3月20日(日)
21 酵素に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) 反応速度は、至適pHで最小となる。
 (2) 酵素と基質の親和性は、ミカエリス定数(Km)が大きいほど高い。
 (3) アポ酵素は、単独で酵素活性をもつ。
 (4) 乳酸脱水素酵素には、アイソザイムがある。
 (5) 化学反応における活性化エネルギーは、酵素によって増大する。




(1) 至適pHというのは、酵素が最もよく働くpHのことです。したがって、反応速度は至適pHで最大になります。ついでに、ペプシンの至適pHが1~2、トリプシンの至適pHが8前後であることも思い出しておきましょう。

(2) 逆です。酵素と基質の親和性が大きいほど、ミカエリス定数(Km)の値は小さくなります。生化学が苦手な人は、これをこのまま暗記しておきましょう。ゆとりがあれば、ミカエリス定数(Km)とは、最大反応速度(Vmax)の1/2を与える基質濃度であるということも思い出しておきましょう。

(3) 酵素の中には、酵素たんぱく質単独では活性を示さず、補酵素や金属原子などの補因子を伴って初めて活性を示すものがあります。このとき、酵素タンパク質と補因子との複合体をホロ酵素といいます。このホロ酵素のたんぱく質部分のことをアポ酵素といいます。したがって、ホロ酵素は酵素活性をもちますが、アポ酵素単独では酵素活性を示さないことになります。

(4) 乳酸脱水素酵素(LDH)には、5種類の主要なアイソザイムの存在が知られています。よって正文です。これらのアイソザイムは心臓や肝臓など、それぞれ異なる臓器中に存在しています。そのため、血液中のアイソザイムパターンを調べることによって、それぞれの臓器の疾患の有無を推測することができます。ちなみに、アイソザイムは国試頻出項目の1つですので、その意味を確認しておきましょう。簡単に言えば、「アイソザイムとは、同じ化学反応を触媒するが、構造の異なる酵素のこと」です。(厳密な定義はもう少し長くなりますが、国試対応ではこの程度で大丈夫だと思います。)

(5) 逆です。活性化エネルギーは、酵素によって低下します。そのため、体温程度の低い温度でも化学反応がスムーズに進行します。この問題は、国試に頻出しますので、必ずわかるようにしておきましょう。




答えは(4)です。