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第31回管理栄養士国家試験 問題78 平成29年3月19日(日)
第31回管理栄養士国家試験 問題78 平成29年3月19日(日)

78 炭水化物の栄養に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) コリ回路では、アラニンからグルコースが産生される。
 (2) 空腹時には、糖原性アミノ酸からグルコースが産生される。
 (3) 組織へのグルコース取り込みは、コルチゾールによって促進される。
 (4) 健常者では、食後2時間で、血糖値が最大となる。
 (5) 血糖値が低下すると、脂肪組織のトリアシルグリセロールの分解は抑制される。




(1) 誤文です。コリ回路では、乳酸からグルコースが産生されます。より詳しくは、無酸素運動によって筋組織中で生成された乳酸が血流によって肝臓に運ばれ、そこでグルコースに変換され、再び血流によって筋組織に運ばれ利用されるという回路です。

(2) 正文です。空腹時には血糖値が低下しますので、生体は何とかしてグルコースをつくって血糖を補おうとします。肝臓では貯蔵しているグリコーゲンを分解して血糖を補います。また糖以外の物質からグルコースを合成する(すなわち糖新生を行う)原料としては、糖源性アミノ酸や上記(1)の乳酸、トリアシルグリセロールの分解などで生じるグリセロールが利用されます。

(3) コルチゾールは、代表的な糖質コルチコイド(グルココルチコイド)で、血糖値を上昇させる方向に働くホルモンです。組織内へのグルコースの取り込みを促進すると、血糖値を下げることになりますので、おかしいと気づく必要があります。コルチゾールは組織へのグルコースの取り込みを阻害しますので、誤文です。

(4) 2時間は長すぎますね。食後2時間ですと、食後一旦上昇した血糖値が平常値まで戻っているころです。よって誤文です。

(5) 逆です。上の(2)の解説にも記したとおり、血糖値が低下すると脂肪組織中のトリアシルグリセロールの分解が亢進し、グリセロールは糖新生の材料となり、また、脂肪酸はエネルギー源として利用されます。脂肪組織中のトリアシルグリセロールが飢餓時に備えたエネルギーの貯蔵体であることを思い起こせば、特にホルモン感受性リパーゼなどを思い出さなくても、容易に誤文と判断できると思います。




答えは(2)です。