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第32回管理栄養士国家試験 問題32 平成30年3月4日(日)
第32回管理栄養士国家試験 問題32 平成30年3月4日(日)

32 ホルモンの構造と作用機序に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
  (1) ドーパミンは、ペプチドホルモンである。
  (2) インスリンは、細胞膜を通過して作用する。
  (3) チロキシンは、細胞膜にある受容体に結合して作用する。
  (4) アドレナリンは、核内受容体に結合して作用する。
  (5) cAMP(サイクリックAMP)は、セカンドメッセンジャーである。

(1) ドーパミンは、中枢性の神経伝達物質であり、一般的にはホルモンではありません。また、カテコールアミンの一種であり、ペプチドではありません。よって誤文です。どこかでおかしいと気づきたいところです。

(2) 誤文です。インスリンは、ペプチド(あるいはたんぱく質)ホルモンです。したがって、標的細胞の細胞膜を通過せず、その細胞膜上にある受容体に結合して、作用を発揮します。

(3) 甲状腺ホルモンであるチロキシン(T4)やトリヨードチロニン(T3)は、標的細胞の細胞膜を通過し、その核に存在する受容体に結合して、遺伝子の発現を制御します。「甲状腺ホルモンは、核内受容体に結合する」というのは、国試頻出項目の一つですので、しっかりと覚えておきましょう。

(4) アドレナリンは、標的細胞の細胞膜表面にある受容体に結合して、その作用を発揮します。よって誤文です。

(5) 正文です。cAMPは、代表的なセカンドメッセンジャーです。たとえば肝細胞にグルカゴンが作用する時、グルカゴンは肝細胞膜表面の受容体に結合し、この刺激が細胞内でのcAMPの急速な合成を促し、次いでグリコーゲンの分解が誘導されます。このように、プライマリーメッセンジャー(一次メッセンジャー)であるホルモンの情報を細胞内で伝達するcAMPのような物質を、セカンドメッセンジャー(二次メッセンジャー)と言います。ついでに、ATPからcAMPを合成する酵素であるアデニル酸シクラーゼ(アデニレートシクラーゼ)と、cAMPを5’-AMPに分解する酵素であるホスホジエステラーゼの名称を思い出せると、なお安心です。




答えは(5)です。