fc2ブログ
第33回管理栄養士国家試験 問題18 平成31年3月3日(日)
第33回管理栄養士国家試験 問題18 平成31年3月3日(日)

18 ヒトの細胞の分裂と分化に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
 (1) 受精卵は、多能性を有する細胞である。
 (2) 胚性幹(ES)細胞は、分化した細胞である。
 (3) 細胞の染色体数は、減数分裂により46本になる。
 (4) 体細胞分裂は、細胞周期の間期に起こる。
 (5) 体細胞のテロメアは、細胞分裂に伴って伸長する。



(1) 多能性とは、多様な細胞に分化することができる性質のことです。たとえばiPS細胞は、神経細胞や心筋細胞、骨髄幹細胞などに分化させることが可能なため、多能性をもっていると言います。受精卵は細胞分裂を繰り返し、体を構成するありとあらゆる細胞のもとになりますので、明らかに多能性をもっています。よって正文です。(受精卵は全能性をもっているため、厳密には「多能性」という言葉は使いません。拡大解釈して「全能性も多能性の一種」と考えて、ぎりぎり正文といったところでしょうか。)

(2) 胚性幹細胞(ES細胞)は、胚に由来する未分化な細胞から作製された、多能性をもった細胞です。したがって、「分化した」というのは間違っており、誤文です。

(3) ヒトの体細胞の1個の核に含まれる染色体数は、23対46本です。減数分裂が起きると、これが半分になりますので、23本になります。減数分裂は生殖細胞形成時に起きる分裂で、そのため卵や精子に含まれる染色体数は23本になります。受精によって両者が合わさって、23対46本に戻る仕組みです。よって、「46本」ではなく「23本」です。

(4) 高校の生物基礎レベルの問題です。細胞周期は細胞が分裂する「分裂期」とそれ以外の「間期」に分けられます。よって、分裂が起きるのは「分裂期」であって「間期」ではありません。もしもゆとりがあるようなら、間期はさらにG1期、S期、G2期に分けられることも思い出しておくと、なお良いでしょう(ここまで国試で出題された例はありませんが)。

(5) テロメアは細胞分裂にしたがって短くなりますので、誤文です。これは覚えておきましょう。テロメアは、細胞の寿命や老化と関連があるものと目されており、注目されています。


答えは(1)です。