2019年11月06日 (水)
第33回管理栄養士国家試験 問題23 平成31年3月3日(日)
23 糖質・脂質代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1) クエン酸回路では、糖新生が行われる。
(2) グルカゴンは、肝臓のグリコーゲン分解を促進する。
(3) 赤血球は、脂肪酸をエネルギー源として利用する。
(4) HMG-CoA還元酵素は、脂肪酸合成における律速酵素である。
(5)コレステロールエステル転送タンパク質(CETP)は、コレステロールをエステル化する。
この問題では、(2)が簡単な正文ですので、これを必ず選べるようにしましょう。自信をもって(2)が選べれば、(5)のような面倒な誤文をあれこれ考える必要がなくなります。
(1) 瞬時に誤文と見抜きましょう。クエン酸回路(TCAサイクル)でグルコースの合成はしていなかったですよね。そもそもクエン酸回路はミトコンドリア内で進行し、糖新生のほとんどは細胞質ゾルで行われており、場所も違っています。
(2) わかりやすい正文です。グルカゴンは血糖値を上昇させるホルモンです。その主な作用点は肝臓で、肝臓に蓄えられているグリコーゲンの分解を促進し、血糖を補います。高校の生物基礎の知識で対応できますね。ついでに、この時のグリコーゲンの分解は加リン酸分解であり、生成物はグルコース-1-リン酸であることや、肝臓にはグルコース-6-ホスファターゼという酵素が存在するから、グルコースを供給できることなども思い出しておくと安心です。
(3) 脂肪酸はβ酸化で代謝され、大量のATPを生み出します。このβ酸化はミトコンドリア内で進行します。成熟した赤血球はミトコンドリアをもっていません。もうわかりましたよね。赤血球は脂肪酸をエネルギー源にはできません。主にグルコースをエネルギー源として、解糖系でATPを合成しています。
(4) 脂肪酸の生合成における律速酵素は、アセチルCoAカルボキシラーゼです。ちなみにHMG-CoA還元酵素は、コレステロール合成における律速酵素です。
(5) 個人的にはここまで知っておく必要はないような気がします。この問題は高校レベルの知識でわかる(2)を選択しておしまいでいい気がします。が、一応解説しておきます。コレステロールをエステル化するのは、レシチン-コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)という酵素です。ちなみにコレステロールエステル転送タンパク質(CETP)は、血漿中のリポタンパク質間でコレステロールエステルの転送を促進するたんぱく質です。(ここまで考えなくても、「コレステロールエステル転送タンパク質」という名前なのだから、コレステロールエステルを転送するのであって、コレステロールをエステル化するのではないだろう、と考えれば、案外簡単に誤文と見抜けるかもしれませんが。)
答えは(2)です。
23 糖質・脂質代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1) クエン酸回路では、糖新生が行われる。
(2) グルカゴンは、肝臓のグリコーゲン分解を促進する。
(3) 赤血球は、脂肪酸をエネルギー源として利用する。
(4) HMG-CoA還元酵素は、脂肪酸合成における律速酵素である。
(5)コレステロールエステル転送タンパク質(CETP)は、コレステロールをエステル化する。
この問題では、(2)が簡単な正文ですので、これを必ず選べるようにしましょう。自信をもって(2)が選べれば、(5)のような面倒な誤文をあれこれ考える必要がなくなります。
(1) 瞬時に誤文と見抜きましょう。クエン酸回路(TCAサイクル)でグルコースの合成はしていなかったですよね。そもそもクエン酸回路はミトコンドリア内で進行し、糖新生のほとんどは細胞質ゾルで行われており、場所も違っています。
(2) わかりやすい正文です。グルカゴンは血糖値を上昇させるホルモンです。その主な作用点は肝臓で、肝臓に蓄えられているグリコーゲンの分解を促進し、血糖を補います。高校の生物基礎の知識で対応できますね。ついでに、この時のグリコーゲンの分解は加リン酸分解であり、生成物はグルコース-1-リン酸であることや、肝臓にはグルコース-6-ホスファターゼという酵素が存在するから、グルコースを供給できることなども思い出しておくと安心です。
(3) 脂肪酸はβ酸化で代謝され、大量のATPを生み出します。このβ酸化はミトコンドリア内で進行します。成熟した赤血球はミトコンドリアをもっていません。もうわかりましたよね。赤血球は脂肪酸をエネルギー源にはできません。主にグルコースをエネルギー源として、解糖系でATPを合成しています。
(4) 脂肪酸の生合成における律速酵素は、アセチルCoAカルボキシラーゼです。ちなみにHMG-CoA還元酵素は、コレステロール合成における律速酵素です。
(5) 個人的にはここまで知っておく必要はないような気がします。この問題は高校レベルの知識でわかる(2)を選択しておしまいでいい気がします。が、一応解説しておきます。コレステロールをエステル化するのは、レシチン-コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)という酵素です。ちなみにコレステロールエステル転送タンパク質(CETP)は、血漿中のリポタンパク質間でコレステロールエステルの転送を促進するたんぱく質です。(ここまで考えなくても、「コレステロールエステル転送タンパク質」という名前なのだから、コレステロールエステルを転送するのであって、コレステロールをエステル化するのではないだろう、と考えれば、案外簡単に誤文と見抜けるかもしれませんが。)
答えは(2)です。
| ホーム |