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第34回管理栄養士国家試験 問題70 2020年3月1日(日)
70 糖質の代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  (1)糖質の摂取量増加は、ビタミンB6の必要量を増加させる。
  (2)グルコースは、脂肪酸に変換されない。
  (3)グルコースは、可欠アミノ酸に変換されない。
  (4)ペントースリン酸回路は、リボース5-リン酸を生成する。
  (5)赤血球には、解糖系が存在しない。



(1) 糖質の摂取量の増加は、一般にはビタミンB6の必要量に影響を与えません。ビタミンB1の必要量を増加させます。解糖系によって生じたピルビン酸がアセチルCoAに変換されるときに作用するピルビン酸デヒドロゲナーゼ(ピルビン酸脱水素酵素)が、補酵素としてビタミンB1(チアミンピロリン酸)を必要とすることを思い出しておきましょう。

(2) 正文です。脂肪酸を生合成するための直接の材料は、アセチルCoAです。これをさかのぼると、クエン酸であったりピルビン酸であったりするのですが、さらにさかのぼるとグルコースに行きつきます。脂質を摂取せずに糖質だけを摂取しても、過剰摂取すると体脂肪が増えることを考えれば、わかりやすいかもしれませんね。

(3) グルコースは肝臓において、種々のアミノ酸に変換されます。よって誤文です。問題文にわざわざ「可欠」アミノ酸と書かれているのは、不可欠アミノ酸(必須アミノ酸)はそもそも生体内で合成できないためです。

(4) 正文です。ペントースリン酸回路による代謝産物としては、核酸合成の材料となるリボース 5-リン酸と、脂肪酸やコレステロール合成時に利用されるNADPHの二種類を覚えておきましょう。なお、リボース 5-リン酸は、リボース 5’-リン酸と記される場合もあります。「’」が付いているから誤文、などど勘違いしないようにしましょう。

(5) 解糖系は、細胞質ゾルで進行する代謝系です。成熟赤血球には核やミトコンドリアはありませんが、細胞質ゾルはありますので、解糖系は存在します。ミトコンドリア内で進行するTCAサイクル(クエン酸回路)やβ酸化は存在しませんので、しっかりと区別して覚えておきましょう。

答えは(4)です。