第25回 管理栄養士国家試験問題 問題28
第25回管理栄養士国家試験  平成23年3月20日(日)

28 ヒトの核酸と遺伝子に関する記述である。正しいのはどれか。

 (1) たんぱく質をコードするDNAは、全ゲノムの50%である。
 (2) 核酸に含まれる塩基の種類は、DNAとRNAで同一である。
 (3) 終止コドンは、アミノ酸を指定する。
 (4) 2本鎖DNAの相補的塩基対は、共有結合により形成される。
 (5) 遺伝子変異の中には、一塩基多型(SNP)がある。



(1) ヒトのゲノムは、29~30億塩基対から成りますが、そのうち遺伝子としてたんぱく質をコードしているのは、1.5%あるいは2~3%と推定されています。いずれにしてもごくわずかであり、50%というのは誤りです。

(2) DNAとRNAを構成する塩基のうち、アデニン、シトシン、グアニンの3種は共通ですが、あとの1種はDNAではチミンで、RNAではウラシルです。よって誤文です。

(3) まず、コドンの意味を思い出しましょう。mRNA上の塩基は、3つが組になってある意味を持っています。この3塩基の組のことをコドン(遺伝暗号)といいます。それぞれのコドンは、特定のアミノ酸に対応しており、これによって合成されるたんぱく質のアミノ酸配列が決定します。理論上4×4×4=64で、64通り考えられるコドンですが、そのうち3種は終止コドンといって、特定のアミノ酸に対応せず、たんぱく質合成の終点を指示する暗号として使われます。よって誤文です。(厳密には、セレノシステインという特殊なアミノ酸が、特殊な条件下では終止コドンUGAによりコードされる例が知られていますが、これは例外とすべきでしょう。)

(4) DNAの2本の鎖は、共有結合ではなく水素結合により結びついています。これは絶対に覚えておきましょう。AとTでは2箇所、CとGでは3箇所の水素結合が形成されています。(もしも共有結合だったとしたら、DNAの複製や遺伝子発現のときに2本の鎖をほどくために、さぞ大きなエネルギーがいることでしょう。)

(5) 正文です。一塩基多型(Single nucleotide polymorphism, SNP)は、遺伝子上に1個の塩基の置換が認められる遺伝子変異の一種です。したがって正文です。口語ではスニップと呼ばれ、分子栄養学的に重要な概念です。ヒトの遺伝子は、個人ごとに少しずつ異なります。遺伝子上に存在する塩基配列の多様性は遺伝子多型と呼ばれ、犯罪捜査や親子鑑定などでは、DNA鑑定法として利用されています。また、生存のために重要なたんぱく質をコードする遺伝子上の変化は、遺伝病の原因となることがあります。一方、一塩基多型の中には生存には影響しないものの、栄養素や薬物の代謝などに影響を与えるものがあります。これは、同じ栄養指導や薬物治療を施しても、個人ごとにその効果が異なることの説明として重要です。これらが明らかになってくれば、その遺伝子型に応じたテーラーメード栄養指導やテーラーメード医療につながるものと期待されています。


答えは(5)です。
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